秋の深まりとともに山々が緋色に色づく季節となりました。
今回はカエデの情報やカエデとモミジの違いについて、ご紹介いたします。
カエデとはカエデ属の総称です。切り込みの入った葉は赤ちゃんの手にも例えられますが、万葉集には「かへるで」という蛙の手に例えた古名が登場し、これがなまってカエデになったとされています。また、モミジは植物が赤や黄色に色づくことを意味する動詞「もみず」からきた俗称です。
植物分類上はカエデとモミジは同義語です。ところが園芸の世界では、葉の切り込みが深くて多い ものをモミジといい、それ以外をカエデと区別する習慣があります。また盆栽の世界では、葉が小さく切り込みが深く、秋になると真っ赤になる物をモミジと呼び、切り込みが浅く葉の大きいものをカエデと呼ぶ習慣もあるようです。
【園芸界のカエデ】
葉の切り込みが浅い3裂
中国原産のため唐楓(トウカエデ)の名が付けられた
葉が赤色ではなく黄色に
色づくのが特徴
樹液はタバコの香料に使われる
天狗の持つ羽団扇に似ているのが名前の由来とされている
カエデの中でも葉が特に大きい
【園芸界のモミジ】
日本海側の山地に生える
新緑や紅葉の美しさから庭木や
盆栽としても広く親しまれてきた
指で「いろはにほへと」と
数える時の指に似ていることから
名付けられた
他のモミジに比べて大きく(広く)なることからヒロハモミジ
という別名がある
秋に紅葉せず1年を通じて緑色を保つ
葉に切れ込みが無く先端が細く尖った形をしており
クスノキに似ていることからその名が付けられた
独立した3枚の葉がひとつのセットになっている
秋には黄色に紅葉することが多いが
条件が揃えば赤色に紅葉する場合もある
ミツデカエデと同じく3枚1セットの葉が特徴
樹皮を煎じた汁を目薬として使ったことが
名前の由来で千里眼の木とも呼ばれている
若木の樹皮がマクワウリの皮の縞模様に
似ていることから名付けられた
老木になると樹皮は灰色に変化する
お菓子などに使われるメープルシロップですが、その原料がサトウカエデ(砂糖楓)の樹液だということをご存知でしょうか。直径30センチ以上のサトウカエデの幹に穴を開けて管を挿し、そこから樹液を採取します。この樹液を適度な甘さになるまで煮詰めます。あくをこまめにすくい取り、ろ過し不純物を取り除くとメープルシロップが出来上がります。1本の木から40~80ℓの樹液が採取できますが、1ℓのメープルシロップを作るためには40ℓの樹液が必要です。
サトウカエデはカナダを代表する木で国旗にもデザインされています。 カナダのメープルシロップの生産量は全世界の8割を占めています。
古来より日本人に親しまれてきたカエデは日本全国に名所があり、気軽に楽しむことができます。 また、ドライブやハイキングなど楽しみ方も様々です。これからの季節にぜひ出かけてみては いかがでしょうか。